はじめに:「この習い事、本当に将来の役に立つの?」

「ピアノを習わせているけれど、将来音楽の道に進むわけじゃないし…」
「サッカーは楽しそうだけど、サッカー選手になるわけでもないしいつまでやる?」
「英語は絶対必要だと思うけど、今から習わせる意味はあるのかな…?」

子どもの習い事に対して、こうしたモヤモヤを感じたことはありませんか?

子どもの将来を見据えるからこそ、「今やっていること」がちゃんと意味のある時間なのか、気になるのは当然です。

今回は、そんな悩みに寄り添いながら、“将来のために”と“今の学び”をどうつなげて考えるかについて掘り下げていきます。


習い事=将来の職業ではない。でも…

まず大前提として押さえておきたいのは、習い事の多くは「将来の職業」には直接つながらないということ。

ピアノを習ったからといって音楽家になるとは限りませんし、サッカーをしていたからといってプロになるわけでもありません。

では、意味がないのかというと…そうではありません。

習い事には、“直接的な成果”ではなく、**将来の人生に活きる「土台」**となる力がたくさん詰まっています。


習い事で育つ“将来力”とは?

将来役立つ力=「目に見えるスキル」だけではありません。

むしろ、以下のような**“非認知能力”**と呼ばれる力こそ、これからの時代に必要とされる力です。

1. 続ける力(GRIT)

うまくいかないことに向き合いながらも、地道にコツコツと努力する力。

→ ピアノの反復練習やスポーツの基礎トレーニングなどが育む。

2. 協調性・コミュニケーション力

仲間と協力し、互いの意見を聞きながら目標を目指す力。

→ チームスポーツや集団活動系の習い事で自然と身につく。

3. 自己肯定感・達成感

「できた!」という経験を積み重ねることで、自分に自信が持てるようになる。

→ 発表会やテストなどでの成功体験が鍵。

4. 興味を広げるきっかけ

ある分野への好奇心が、将来の進路選択や学習意欲につながる。

→ 好きなことがある=学びに前向きになる入口。


将来役立つかどうかを考えるときの3つの視点

視点①:習い事が“学び続ける力”を育てているか?

未来は「正解がない時代」と言われます。
ひとつのスキルだけで生きていけるわけではなく、自ら学び、挑戦し続ける力が求められます。

習い事は「失敗しながら試してみる」「継続して身につける」という経験の宝庫。
この経験こそが、“どんな時代にも通用する力”になります。


視点②:親の価値観に偏りすぎていないか?

「英語は必ず必要」「スポーツより勉強」といった思い込みに縛られていないか、時には立ち止まって考えてみましょう。

子ども自身が何に楽しさを感じ、どんな時間に“生き生きしているか”が、将来のヒントになることもあります。


視点③:「今の自信」につながっているか?

将来のことばかりを見て、「今」の子どもの笑顔や達成感を見逃していませんか?

“自分で選んだ”“自分でがんばった”という体験が、やがて「自分の将来を自分で切り拓く力」につながります。


実際の例:習い事が“将来の力”になった瞬間

●英会話→海外旅行で自信に

小学2年から英語を習っていた子。
中学の修学旅行で英語で買い物をして「自分で通じた!」と嬉しそうに話してくれた。
その経験が、自信を持って高校での留学を決断するきっかけになった。


●ピアノ→音楽系進路でなくても生きた!

結局音大には進まなかったけど、受験期の「集中力」や「時間管理力」はピアノのおかげで身に着いた。
毎日欠かさず練習した経験が「やればできる」っていう自信につながった。


習い事に“意味”を持たせるためにできること

1. 習い事の目的を親子で共有する

「どうしてこの習い事をやっているのか」を言葉にして話すだけで、子どもにとっての納得感が高まります。

例:「英語は将来に役立つよ」→「海外の人と話せると世界が広がるよね」


2. 成長を見える化する

  • 練習前と後の動画を撮る
  • 成長ノートをつける
  • 月1回の「できた!を振り返る日」を作る

小さな変化に気づくことが、子どもにとってもモチベーションになります。


3. 子どもの「やりたい」を軸にする

「やらせたい」ではなく、「やりたい」「もっと知りたい」を大切に。
好きだからこそ、自ら学び続けようとする原動力になります。


まとめ:「今」の習い事が、「未来」の力になる

習い事が将来につながるかどうか――
それは、今すぐに答えが出るものではありません。

でも、「楽しみながら続けられたこと」「自分の意思で選び、努力したこと」は、
確実にその子の人生に根を張り、いつか自分の道を切り拓く力になります。

だからこそ、
「これは将来のために意味がある?」という問いを、
「この子の未来を支える力になっている?」という視点で考えてみませんか?

子どもが未来に向かって、自分の足で歩んでいけるように。
今日の小さな習い事の時間を、大切にしていきたいですね。