はじめに

「ママ、今日のお皿洗い、ぼくがやっていい?」

こんな言葉を聞くと、親としては「助かる!」と思う一方で、「ちゃんとできるかな?」と不安に感じることもあるかもしれません。でも、子どもがお手伝いをすることには、実は大きなメリットがあります。その一つが、自己肯定感の向上です。

自己肯定感とは「自分は大切な存在である」「自分はできる」と感じる力のこと。この感覚が育つことで、子どもは前向きに挑戦できるようになります。

今回は、お手伝いを通じて子どもの自己肯定感を高める方法について、具体的な実例を交えながら解説します。

1. 「できた!」という成功体験が増える

子どもは自分がやったことで誰かが喜ぶと、大きな達成感を得ます。例えば、幼児でもできる簡単なお手伝い(テーブルを拭く、洗濯物を運ぶなど)を任せて「ありがとう!」と言われると、「自分は役に立てるんだ」と感じるのです。

あるお母さんのSNS投稿では、5歳の娘さんが食器を拭くお手伝いを始めたところ、「ママ、私、上手にできたよ!」と誇らしげに話していたそうです。最初は泡が残っていたりしましたが、回数を重ねるうちに上達し、「ママみたいにできる!」と自信をつけたとのこと。

2. 「役割を持つ」ことで自分の価値を実感する

家族の一員として役割を持つことは、子どもの「自分も大切な存在なんだ」という実感につながります。

例えば、「お風呂掃除はお兄ちゃんの役目」「妹はタオルをたたむ」など、年齢に応じた役割を持たせることで、「自分の仕事がある」という責任感が芽生えます。

ある家庭では、小学2年生のお兄ちゃんがゴミ出しを担当。最初は「めんどくさいな~」と言っていたそうですが、「いつもありがとう、おかげで助かるよ」と声をかけ続けたことで、自分の仕事に誇りを持つようになったそうです。

3. 大人に認められることで自己効力感が高まる

お手伝いをしたときに「助かったよ!」「すごく上手にできたね!」と大人が言葉で伝えることが大切です。

心理学では、これを「自己効力感」と呼びます。自己効力感が高い子どもは、「次もやってみよう」「もっと挑戦したい」と考え、成長する意欲を持ちやすくなります。

1. 「遊び感覚」で楽しく取り組む

小さな子どもほど、遊びながら学ぶことで意欲が高まります。

例えば、おもちゃのタイマーを使って「10分以内におもちゃを片付けられるかな?」とゲーム感覚にすると、楽しみながら片付けができます。また、「今日はレストランごっこ!ママはシェフ、○○ちゃんはウェイターさんね」と役割を作ると、お手伝いがより楽しいものになります。

2. できるだけ具体的にお願いする

「お手伝いして」と漠然と伝えるよりも、「このお皿をテーブルまで運んでね」など、具体的な指示を出すほうが子どもは動きやすくなります。

また、完璧を求めすぎず、できたことを認めることが大切です。「ちょっと斜めになってるけど、一生懸命並べたんだね!」とポジティブな声掛けをすると、子どもは「またやりたい!」と思うようになります。

3. 「ありがとう」を忘れずに

感謝の言葉は、子どもの自己肯定感を高める最も簡単な方法です。

「○○くんが手伝ってくれたから、すごく助かったよ!」「おかげでママは早く休めるよ、ありがとうね!」

こうした言葉をかけることで、子どもは「自分がやる意味」を感じ、進んでお手伝いをするようになります。

幼児(3~5歳)

  • テーブルを拭く
  • 靴を揃える
  • 洗濯物をかごに入れる
  • スプーンやフォークを並べる

小学校低学年(6~8歳)

  • 洗濯物をたたむ
  • ゴミを分別する
  • 朝ごはんの準備(パンを並べる、牛乳を注ぐ)
  • ペットのエサやり

小学校中学年(9~10歳)

  • 食器洗い
  • お風呂掃除
  • 簡単な料理(おにぎりを作るなど)
  • 買い物メモを見ながら買い物をする

お手伝いは、単なる家事の手伝いではなく、子どもの自己肯定感を育てる貴重な機会です。

最初は時間がかかったり、思った通りにできなかったりすることもありますが、「やってくれて嬉しい」「ありがとう」と伝えることで、子どもは自信を持つようになります。

「うちの子はお手伝いが好きじゃない…」と思っている親御さんも、まずは簡単なことから試してみませんか?

子どもが「自分はできる!」と感じられる環境を作ることで、自己肯定感が育ち、将来の自立にもつながります。

ぜひ、今日からお手伝いを取り入れてみてください!