はじめに:「やらせたい」と「やりたくない」のすれ違い
子どもの習い事について、「親はやらせたい」「子どもはやりたくない」と意見が分かれることは珍しくありません。
たとえばこんな場面、心当たりはありませんか?
- 「そろそろ英語を始めた方がいいと思うのに、本人は興味ゼロ」
- 「ピアノを続けてほしいけど、練習を嫌がる」
- 「周りの子がやってるから始めたのに、すぐ『やめたい』って…」
親としては「将来のために」「今しかできないことだから」という思いがある一方で、子どもは「今の自分の気持ち」を大切にしています。
今回はそんな親子のすれ違いにどう向き合えばよいのか、押しつけにならない関わり方のヒントをお届けします。
なぜ親子で意見が合わないのか?
意見が食い違うのには、当然理由があります。それぞれの立場で見てみましょう。
親の気持ち:先を見据えて選びたい
- 将来役立つスキルを今のうちに身につけてほしい
- 子どもにはできるだけ良い環境を与えたい
- 他の子に遅れをとってほしくない
こうした思いは、すべて愛情と責任感からくるものです。
子どもの気持ち:今を楽しみたい
- 興味のあることをやりたい
- 苦手なことはできるだけ避けたい
- 「やらされている」と感じると反発したくなる
子どもにとって「楽しい」「やりたい」は、行動の大きな原動力。
強制されると、それだけでやる気がそがれてしまうこともあります。
親が気をつけたい3つのNG対応
親の思いが強すぎると、知らず知らずのうちに子どもにプレッシャーをかけてしまうことも。以下のような言葉がけは注意が必要です。
NG①:「みんなやってるよ」
→ 子どもは“比較されている”と感じやすく、やる気をなくす原因に。
NG②:「将来のために今がんばらないと」
→ 「将来」はまだ実感が湧かず、逆に重荷になることもあります。
NG③:「お金払ってるのに、やる気ないの?」
→ お金の話は、子どもにとって“責められている”ように感じやすいです。
押しつけにならない関わり方のコツ
では、親の思いを伝えつつ、子どもを尊重するにはどうすればよいのでしょうか。以下の3つの視点を持つことで、親子の対話がぐっと柔らかくなります。
①「やってみたい?」と聞いてみる
「これをやりなさい」ではなく、「これ、やってみたいと思う?」と選択肢として提示することで、子どもに決定権を持たせることができます。
子どもは、自分で選んだことに対しては責任感を持ちやすくなります。
② “共通の目的”を探す
親:「将来、英語を使って世界の人と話せたら楽しそうじゃない?」
子:「海外のおもちゃで遊べるならいいかも!」
といったように、親と子で**「共感できる目的」**を一緒に探すことで、やる気のきっかけが生まれます。
③ やってみてダメなら見直す“柔軟さ”を持つ
「3か月だけ続けてみて、それでもイヤならやめてもいい」
「週1回だけにして、気持ちが乗るか試してみよう」
一度やってみてダメだったらやめられる、という逃げ道があることで子どもは安心できます。
実際の親子の声:こんな工夫で意見がまとまりました
●ケース1:ピアノを続けたくないと言い出した子
「やめたい」と言われて、最初は反射的に「なんで?」と責めてしまったけど、
「本当はどうしてそう思ったの?」と聞いたら、
「練習時間に遊びたくて…」という理由があった。
練習を朝にずらしたら、すんなり続けられました。
●ケース2:親がやらせたい英語、子どもは興味なし
英語を学ばせたくていろいろ教材を揃えたけど、全然やらない。
ある日YouTubeで英語の歌を一緒に見たらノリノリに。
「この歌覚えてみようよ!」と始めたら、少しずつ興味が出てきた。
親も子も納得できる“折り合い”のつけ方
意見が合わないときに大切なのは、「どちらかが我慢する」ことではなく、お互いの納得点を探すことです。
- 子ども:「自分の気持ちを聞いてもらえた」
- 親:「これなら将来につながりそう」
どちらもそう思えるような“間をとった選択”をすることが、長く続けるうえでのカギになります。
まとめ:「やらせたい」より「一緒に見つけよう」
習い事は、単なるスキル習得の場ではなく、親子のコミュニケーションの場でもあります。
意見が違ったときこそ、子どもの気持ちに耳を傾け、
「どうすれば一緒に納得できるか」を話し合うことが大切です。
「やらせたい」から「一緒に見つけよう」へ。
そんな関わり方が、子どもの未来を明るく照らす第一歩になるはずです。