子供のころの習い事が将来の収入に与える影響とは?親が知っておきたい習い事の選び方

「習い事は将来の役に立つの?」「子どものやる気がないと意味がないのでは?」と悩む親御さんは多いのではないでしょうか。実は、子どものころに習い事をしていたかどうかが、大人になってからの収入にまで影響を与える可能性があることが、さまざまな研究で示されています。この記事では、実際の論文も交えながら、習い事が子どもの将来にどのような影響を与えるのかを、わかりやすく解説します。

習い事と将来の収入の関係性【研究結果から見る習い事の効果】

習い事が将来の収入にどのような影響を与えるのか、具体的なデータをもとに考えてみましょう。

アメリカの心理学者Margo GardnerとLaurence Steinberg(2005)の研究では、10代の若者が学校外で行う芸術活動やスポーツ活動が、大人になってからの学歴や収入の高さと相関していることが明らかになっています。この研究では、特に継続的な習い事への参加が、自己管理能力や社会的スキルの発達を促し、それが学業・職業の成功へとつながることが示唆されました。

また、イギリスで行われた大規模な調査(UK Millennium Cohort Study)では、7歳までに定期的に楽器を習っていた子どもは、言語能力や数学のスコアが高く、10代後半の大学進学率や将来の平均年収も高い傾向があるという結果が出ています。


習い事が育てる「非認知能力」がカギ

収入に影響を与えるのは、学歴やIQだけではありません。近年注目されているのが「非認知能力(Non-cognitive skills)」です。これは、意欲、自己コントロール、協調性、粘り強さなど、数値では測れない力のことを指します。

たとえば、ピアノの練習を通じて「毎日コツコツ続ける力」や「努力の先にある達成感」を学ぶ、サッカーを通じて「チームで協力する力」や「負けても立ち直る力」を育てる、こうした経験は学力テストには出ませんが、将来の職場での成功に直結します。

アメリカの経済学者ジェームズ・ヘックマン(ノーベル経済学賞受賞)は、非認知能力が将来の学歴や収入、社会的成功に大きな影響を与えることを数々の研究で明らかにしています。習い事は、まさにこの非認知能力を育てる重要な舞台なのです。


習い事を選ぶときに大切な3つのポイント

では、子どもの将来に良い影響を与える習い事を選ぶには、どんな点に注意すればよいのでしょうか?

1. 子どもが「楽しい」と感じられるか

まず大前提として、子ども自身がその習い事を楽しいと感じていることが重要です。興味を持って自主的に取り組むことで、継続的な学びにつながります。

2. 続けやすい環境があるか

家から近い、費用が無理なく続けられる、親の送迎が可能など、無理なく継続できる環境があるかも大切です。継続こそが力になります。

3. 成長を感じられる機会があるか

発表会や試合、検定など、達成感や成長を実感できる場があると、子どもは自信を育てながら前向きに取り組めます。


習い事の価値は「将来の自分」を支える力になる

習い事の真の価値は、「今、技術を身につける」ことだけではありません。むしろ、「将来にわたって活きる力を育てる」ことにあります。習い事を通して身につけた集中力、計画性、協調性、自己肯定感などは、学校生活はもちろん、社会人になってからの人間関係や仕事にも大いに役立ちます。

将来の収入や幸福度にまでつながる習い事選び。目先の成果だけにとらわれず、長期的な視点で、子どもに合った習い事を見つけていきましょう。


【まとめ】 子どもの習い事は、将来の収入や社会的成功にも影響することが、国内外の研究からも明らかになっています。特に、非認知能力の育成という観点で、継続的な習い事の価値は非常に高いものです。親としては、子どもが楽しめて、無理なく続けられ、成長を感じられるような習い事を選ぶことが大切です。