子どもが勉強した内容をしっかりと定着させるには、一度習ったことを時間をおいて繰り返し学ぶことが重要です。この学習法は「スパイラル学習」と呼ばれ、小学生から高校生まで幅広い年齢層で有効とされています。今回は、スパイラル学習の具体的な方法や、その教育効果について詳しく解説します。
1. スパイラル学習とは?
スパイラル学習とは、一度学習した内容を忘れないうちに、時間をおいて再び学び直す学習方法です。「らせん(スパイラル)」のように、同じテーマを繰り返しながら、少しずつ深掘りして理解を定着させていくことが特徴です。
たとえば、小学2年生で「かけ算」を学習した後、3年生で「わり算」、4年生で「分数」といった具合に、前の学年で学んだ知識を基盤にして、新しい内容を学んでいきます。これによって、知識が強固になり、より深い理解につながります。
2. スパイラル学習のメリット
スパイラル学習を取り入れることで、以下のようなメリットがあります。
(1) 記憶の定着がしやすい
人の記憶は、一度学習しただけでは時間とともに忘れてしまうものです。エビングハウスの忘却曲線によると、学習した内容は20分後に42%、1時間後には56%、1日後には74%が忘れられるといわれています。しかし、繰り返し復習することで、記憶が強化され、長期記憶として定着しやすくなります。
(2) 理解が深まり応用力がつく
繰り返し学習することで、以前の知識と新しい知識を関連づけながら学ぶことができます。これにより、単なる暗記ではなく、本質的な理解へとつながります。応用問題に強くなるだけでなく、実生活でも活かせる力が身につきます。
(3) 苦手意識を減らす
一度理解できなかった内容でも、時間をおいて再び学習することで「わかる!」という成功体験が増えます。特に数学や英語などの積み重ねが重要な教科では、スパイラル学習を取り入れることで苦手意識を克服しやすくなります。
3. 小学生から高校生まで実践できるスパイラル学習の方法
【小学生の場合】
- ドリルやワークを活用
- 1週間後、1か月後に同じ単元の問題を解く。
- 「できた!」という体験を増やすため、間違えた問題は解き直す。
- 親子で会話の中に学習内容を取り入れる
- 例えば、買い物時に「100円の3つ分はいくら?」と掛け算を使った質問をする。
- 日常生活の中で学んだ知識を応用する。
【中学生・高校生の場合】
- 過去問や類題を解く習慣をつける
- テスト前だけでなく、定期的に復習する時間を設ける。
- 間違えた問題をノートにまとめ、次回の学習時に振り返る。
- マインドマップやノートまとめを活用する
- 学習した内容を図やイラストで整理し、再学習しやすくする。
- 教科ごとに「振り返りノート」を作り、後で復習しやすい環境を整える。
4. スパイラル学習を成功させるポイント
- 短時間で良いので、定期的に繰り返す
- 1回の復習時間は5~10分でもOK。
- 毎日少しずつ学習する習慣をつける。
- 学習スケジュールを立てる
- 「1週間後・1か月後・3か月後」に復習する計画を立てる。
- スケジュール表を作成し、学習管理をする。
- 楽しみながら学ぶ工夫をする
- ゲーム感覚で問題を解いたり、親子でクイズ形式にする。
- 学校以外の場面でも学習内容に触れる機会を増やす。
5. まとめ
スパイラル学習は、一度学んだことを繰り返し学ぶことで、知識をしっかり定着させる効果的な学習法です。小学生から高校生まで幅広い年齢層で実践でき、学力向上だけでなく、応用力や記憶力の向上にもつながります。お子さんの学習習慣にスパイラル学習を取り入れ、無理なく楽しく勉強できる環境を整えてみてください。